源泉徴収について

~経理初心者・確定申告未経験のかた向け~

掲載:2026/02/05

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はじめに

「源泉徴収(げんせんちょうしゅう)」という言葉は、給与明細や報酬の支払明細で見かけるのに、いざ説明しようとすると難しく感じると思います。 しかも「確定申告」とセットで語られることが多く、「結局、自分は何をすればいいの?」という疑問が残りがちです。 この記事では、税務の専門用語をできるだけかみ砕きながら、源泉徴収のしくみ、関係する書類、年末調整や確定申告との関係、そして「払いすぎた税金は戻るのか」「追加で払うことはあるのか」といった不安のポイントまで、 順番に整理していきます。国税庁が公表している制度説明(源泉徴収・年末調整・確定申告の案内)を前提に、実務目線で「生活者にどう関係するか」を中心に、わかりやすく説明していきます。

もくじ

税金の払い方には2種類ある

所得税(正確には所得税と復興特別所得税)は、多くの人にとって「毎月の給与から勝手に引かれているもの」という印象が強いかもしれません。 これは、税金の代表的な集め方である「源泉徴収」によるものです。 税金の払い方を大きく分けると、次の2つの考え方になります。

ひとつは、税金を支払う人(みなさん)が、1年分の所得をまとめて計算して申告し、税金を納める方法です。 これが「確定申告」です。国税庁の案内でも、所得税の確定申告は「1年分を計算して申告・納税する」手続として説明されています。

もうひとつは、支払う側(会社や報酬の支払者)が、支払うときにあらかじめ税金を差し引いて、国に納めておく方法です。これが「源泉徴収」です。 源泉徴収は、「みなさんの代わりに、支払う側が先に税金を預かって国へ納める仕組み」と理解すると、だいぶ見通しがよくなります。 ここで重要なのは、源泉徴収は最終的な税額を確定する計算ではなく、いったん前払い(仮払い)しておく性格が強い、という点です。 最終的に税金がピッタリになるかどうかは、年末調整や確定申告で調整されます。

源泉徴収はなぜ必要なのか

源泉徴収がなかった時代を想像してみると分かりやすいのですが、もし給与所得者が全員、1年が終わってから「自分で税金を計算して、まとめて納めてください」と言われたらどうなるでしょう。 計算に慣れていない人は手続きが難しく、申告漏れも増えます。 納税資金を確保できず、期限までに納められない人も出るかもしれません。 国としても税収が不安定になります。

そこで、給与のように「定期的に支払われる所得」については、支払の都度、一定のルールで税金を前払いしてもらうことで、本人の負担も、国の徴収事務も、現実的に回るようにしています。 国税庁も、源泉徴収は源泉徴収事務に携わる方向けに毎年手引を整備しており、制度として社会の基盤になっていることが分かります。

「源泉徴収される人」と「源泉徴収する人」

源泉徴収は、基本的に「お金を支払う側」が行います。 この支払う側を税法上「源泉徴収義務者」と呼びます。 給与を払う会社、講演料や原稿料を払う会社・団体などが該当します。

一方、給与や報酬を受け取る人は、支払われる段階で税金が差し引かれます。 給与明細でいえば「所得税」欄に金額が載っているはずです。 この時点であなたは、税金を“払ったことになっている”というより、“支払う側があなたの分の税金を預かった”状態になり、その預かった税金が国へ納付されます。

ここでみなさんが混乱しがちなのが、「会社が引いているなら、自分はもう税金のことを考えなくていいのでは?」という点です。 給与だけで生活していて、会社で年末調整まで完了している場合は、確かにそういうケースが多いです。 しかし、全員がそうではありません。

源泉徴収は「給与」だけではない

源泉徴収の典型例は給与ですが、実は給与以外にも「源泉徴収される支払」は存在します。 たとえば、講演料、原稿料、デザイン料など、一定の報酬・料金の支払では源泉徴収が行われることがあります(支払者側の実務として、源泉徴収の手引が整備されています)。

フリーランスの方や副業で報酬を受け取る方は、「支払われた金額=自分の売上」だと思いがちですが、入金額が源泉徴収後の金額になっていると、売上や所得の把握を誤りやすいので注意が必要です。 源泉徴収されている場合、差し引かれた分は「すでに前払いした税金」ですから、確定申告で精算する材料になります。

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年末調整と確定申告は何が違うのか

年末調整は「会社が、給与の税金を整える手続き」

年末調整は、会社が従業員の1年分の給与について、毎月の源泉徴収が多すぎたか少なすぎたかを再計算して調整する仕組みです。 生命保険料控除、扶養控除、基礎控除などの情報を、年末に申告書で集めて反映します。 国税庁も、年末調整の手順や様式をまとめて案内しています。 年末調整が終わると、多くの場合「給与についての所得税は(その会社での給与分については)精算済み」になります。 だから、給与所得者の多くは確定申告が不要になります。

確定申告は「本人が、1年分をまとめて最終計算する手続き」

一方で確定申告は、給与だけに限らず、事業所得・不動産所得・副業所得・株式の譲渡など、さまざまな所得を合算して、控除も含めて最終的な税額を確定させる手続きです。 国税庁の確定申告案内は、申告書作成や提出方法、期限などをまとめています。 ざっくり言えば、年末調整は「会社があなたの給与を中心にやってくれるミニ確定申告」、確定申告は「あなた自身が行うフルバージョンの最終精算」とイメージすると理解しやすいです。 ただし年末調整にはできる範囲の限界があり、そこから外れる人は確定申告が必要になったり、やった方が得になったりします。

どんな人が確定申告に関係してくるのか

「確定申告は事業をしている人だけ」と思われがちですが、給与所得者でも確定申告が関係することは珍しくありません。 ここでは“よくあるきっかけ”を文章で整理します。

たとえば副業をしていて、給与以外の所得が一定以上ある場合は確定申告が必要になることがあります。 ここで言う所得は「入金額」ではなく、必要経費を差し引いた後の利益に近い概念です。 源泉徴収されている報酬であっても、確定申告が不要になるとは限りません。 源泉徴収はあくまで前払いで、最終税額の確定は別物だからです。 また、年末調整で扱えない控除を受けたい場合も確定申告が登場します。 医療費控除や寄附金控除(ふるさと納税の一部ケース)などは、年末調整だけでは完結しないことが多く、確定申告で精算する必要が出てきます。 国税庁も確定申告の案内の中で、各種控除や申告書作成の導線を用意しています。

さらに、年の途中で退職して年末調整を受けていない人、複数の会社から給与を受け取っていて年末調整の対象が限定される人なども、確定申告で精算が必要になりやすいです。

源泉徴収されているのに「戻る」「追加で払う」が起きる理由

源泉徴収を「先に引かれている税金」だと理解すると、次の疑問が自然に出てきます。

「先に引かれているなら、税金はいつもピッタリのはずでは?」

答えは、ピッタリにならないことがある、です。 なぜなら源泉徴収は、支払時点で分かる情報だけで“仮の計算”をしているからです。

給与の源泉徴収は、扶養親族の人数や社会保険料などを前提に税額表で計算しますが、年の途中で状況が変わったり、控除になる支出(生命保険料、地震保険料など)が年末に確定したりします。 そこで年末調整が必要になります。 国税庁は毎年、源泉徴収税額表を公表し、税制改正による変更点も注意喚起しています。

そして、年末調整でも拾いきれないものや、そもそも年末調整を受けていない場合、確定申告で最終精算します。 その結果、前払いが多ければ還付(返金)になり、足りなければ追加納税になります。

給与明細の「所得税」と、年末にもらう「源泉徴収票」

源泉徴収に慣れる第一歩は、毎月の給与明細と、年末(または退職時)にもらう「源泉徴収票」を面倒くさがらずに眺められるようになることです。

給与明細の所得税は、その月の給与等に対して源泉徴収された金額です。 毎月引かれているので、1年分を合計すると、それなりの額になります。 ただし、これはあくまで“仮の合計”です。 年末調整が終わると、その年1年間の給与・社会保険料・控除・源泉徴収税額などが整理されて「源泉徴収票」にまとめられます。 源泉徴収票は、あなたの所得税の精算結果を示す重要書類で、確定申告をする場合にも土台になります。

慣れない方は、源泉徴収票に書かれている数字の種類の多さに圧倒されがちですが、最初から全部を理解する必要はありません。 まずは「支払金額(給与の総額に近い)」「給与所得控除後の金額」「所得控除の額の合計額」「源泉徴収税額」という、税額計算の骨格になる部分だけでも見られると、理解が急に進みます。

会社側(経理・総務)がやっている源泉徴収の実務を、やさしく覗く

ここから少しだけ、支払う側の視点からみてみましょう。仕組みの裏側が分かると、受け取る側の不安が減るかもしれません。

会社は給与を支払うたびに、税額表などに基づいて所得税(復興特別所得税を含む)を源泉徴収します。 税額表は毎年公表され、改正があれば注意点が添えられています。 そのうえで、会社は預かった源泉所得税を国へ納付します。 さらに年末には年末調整を行い、従業員ごとの税額の過不足を精算します。 国税庁の「年末調整がよくわかるページ」では、様式や手順がまとまっており、源泉徴収義務者(給与の支払者)向け情報が整理されています。

この流れを知っておくと、「会社が何をしてくれていて、何が会社ではできないのか」が見えてきます。 結果として、確定申告が必要な場面に遭遇したときも、「自分だけが特別に面倒なことになった」という感覚が薄れます。

e-Taxやスマホ申告が、源泉徴収との距離を縮めている

最近は「確定申告=税務署で長時間待つ」というイメージも薄れつつあります。 国税庁は確定申告書作成コーナーやマイナポータル連携など、オンラインでの作成・提出の導線を強化しています。 源泉徴収票や控除証明書の情報をデータ連携で取り込めると、入力負担が減り、「源泉徴収された税金を確定申告で精算する」という流れが、心理的にも現実的にも近づきます。 もちろん、最初は設定や準備でつまずくこともありますが、紙中心だった頃よりは確実にハードルが下がっています。

よくある質問

Q. 源泉徴収されているから、確定申告はしなくて大丈夫?

A. いいえ、源泉徴収されていても、それは前払いにすぎません。年末調整の範囲に収まらない控除を受けたい場合や、給与以外の所得がある場合など、確定申告が必要・有利になることがあります。

Q. 確定申告をすると、何か悪いことをした人みたいに思われる?

A. いいえ、確定申告は税金を正しく精算するための普通の制度です。還付申告(払いすぎた税金が戻る申告)も含め、必要な人が使う仕組みですので、決して悪い人だけがするものではありません。

Q. 源泉徴収は、会社が得している仕組み?

A. いいえ、会社はあなたの税金を“預かって納めている”だけで、会社の利益にはなりません。むしろ会社側は、税額計算、納付、年末調整、法定調書(源泉徴収票の交付)など、事務負担を担っています。国税庁が源泉徴収事務の手引を毎年出していることからも、実務として一定の複雑さがありたいへんな負担のかかる領域だと分かると思います。

まとめ

源泉徴収は、税金の世界の入り口にある制度です。 難しそうに見えても、要点はとてもシンプルです。 あなたが受け取る給与や報酬から、あらかじめ税金が差し引かれているなら、それは「税金の前払い」が進んでいる状態です。 年末調整は、その前払いを会社が給与分について整えてくれる仕組みです。 そして確定申告は、年末調整で整えきれない部分も含めて、あなた自身が最終精算する仕組みです。 国税庁は、それぞれの制度を案内ページとして整理し、源泉徴収の手引・年末調整情報・確定申告特集として提供しています。

経理担当者がよく感じるのは、源泉徴収を「理解しよう」と思った瞬間から、給与明細や源泉徴収票が“ただの数字の羅列”ではなく、“自分のお金の流れを示す記録”に変わることです。 年末調整の書類提出も、確定申告が必要になったときも、過度に怖がらずに向き合えるようになります。 できることからで大丈夫です。今日できる「最初の一歩」は、次のどれか一つで十分です。

たとえば、直近の給与明細を開いて、「所得税」の金額だけ確認してみる。 あるいは、去年の源泉徴収票を引っ張り出して、「源泉徴収税額」という欄を見つけてみる。 もし副業の支払明細があるなら、入金額と源泉徴収額がどう表示されているかを眺めてみる。 分からない用語が出てきたら、その時点で初めて調べれば大丈夫です。 税金は、最初から全体を理解するより、「自分の手元の書類に出てきた言葉を、1個ずつ意味づけする」方が、結局いちばん早く身につきます。 みなさんも身近にある書類をあらためて眺めてみてはいかがでしょうか。

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